パリ協定において、日本を含む世界各国が温室効果ガスの削減目標を提出した。日本においては、さらに閣議決定された地球温暖化対策計画において、2030年のみならず、2050年における温室効果ガスの削減目標が示された。これらの削減目標から、電力システムには抜本的なイノベーションが求められている。一方、太陽光発電などの再生可能エネルギーのコストが急激に低下しており、世界各国で、電源構成における割合が急増している。日本においても再生可能エネルギーが大量導入した際には、電力系統の運用・制御について、これまでとは異なる技術や観点が必要である。また、電力市場が今後自由化し、小売の全面自由化、発送分離が行われることから、アンシラリー・サービスの制度設計も急務である。さらに、燃料電池車における水素利用を始め、再生可能エネルギーが大量に導入した際には出力抑制ではなく、水素として貯蔵するという方策もあり得る。
本ワークショップでは、自由化市場のもと、再生可能エネルギーが大量に導入した場合の電力系統運用・制御について、必要となる技術や経済的負担配分の方法について、実務者・研究者等を招聘し、講演・議論を行う。また、水素の製造・貯蔵・利用についても、最先端の知見を共有する。
- 日時:2016年9月26日(月) 13:00~16:30
- 会場:学士会館 202号室
- 主催:東京大学COI(Center of Innovation)
- 共催:国立研究開発法人 科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター(JST/LCS)
- 定員:100名
- 参加費:無料
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プログラム(案)
13:00-13:05
開会ご挨拶
是久 洋一 (九州大学 共進化社会システム創成拠点(CESS) プロジェクトリーダー)
13:05-13:10
趣旨説明
松橋 隆治 (COI-S 研究リーダー/科学技術振興機構低炭素社会戦略センター(LCS)研究統括/東京大学工学系研究科教授)
第1部:再エネ大量導入時の電力系統安定化技術とアンシラリーサービス
13:10-13:30
再生可能電源導入とクラスター構想-九州地域での事業展開-
原田達朗 (九州大学 炭素資源国際教育研究センター 教授)
13:30-13:45
米国におけるアンシラリーサービスの現状調査と日本における可能性
高瀬 香絵 (東京大学工学系研究科 客員研究員/LCS 特任研究員)
13:45-14:00
地域エネルギー事業者としての再生可能関連事業の評価
吉岡 剛 (東京大学工学系研究科 客員研究員/LCS 特任研究員)
議論(15分)
休憩(14:15~14:30)
第2部:貯蔵技術としての水素の可能性
14:30-14:50
再エネ大量導入における水素の役割と課題
土肥 英幸(九州大学 水素エネルギー国際研究センター 教授)
14:50-15:10
持続可能な低炭素社会に向けた水素のポテンシャル
世界はPower to Gas からPower To Xへ
広瀬 雄彦(九州大学カーボンニュートラル国際研究所 招聘教授/HyGrid研究会)
15:10-15:30
九州地区における再生可能電源と水素利用事業のシステム評価
松橋 隆治
15:30-16:25
議論:パネルセッション・議論(55分)