背景

プロジェクトの背景

部門別CO2排出量割合
家庭・業務部門は国全体のCO2排出量の40%近くもの排出量を占めるにも関わらず、産業部門、運輸部門と比べ対策が遅れがちとなっています。

家庭・業務部門の省エネの余地

「家庭・業務部門の省エネ対策」には色々なものがあります。省エネ型のライフスタイルへの変更などももちろん重要な対策といえますが、私達は「低炭素技術[脚注1]の普及」、つまり省エネ家電への買い替えや太陽光発電システムの導入による効果に特に着目して研究を進めてきました。
近年の省エネ家電や太陽光発電システムの効率の向上には目を見張るものがあります。国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター(LCS)の試算では、家庭に省エネ対策を導入した際のエネルギー需要は、約1/4まで削減できる可能性があるという結果を得ています。
平成24年7月25日プレス発表 科学技術振興機構報第898号(PDFファイル)
各家庭の省エネ対策が進めば、エネルギー需要を大幅に減らすことができ、社会の低炭素化に大きく貢献できます。

家庭の省エネポテンシャル 対策前家庭の省エネポテンシャル 対策後

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低炭素技術の導入は、社会の低炭素化に貢献できるだけでなく長期的にみると家計の負担をも軽くします。省エネ対策の導入後は月々の光熱費が節約でき、太陽光発電システムを導入した場合には売電収入も期待できます。将来的にはこの節約額・売電収入が購入・買い替え時の初期コストを上回る場合が多々あるのです。
しかし、現実には私達研究者がそのメリットから推測するほどには、家庭部門の省エネ対策は進んでいません。私達は以下のような点が、家庭への低炭素技術普及のネックになっていると考えました。

  • 低炭素技術の導入は高額であり、電気代の低減により長期的にはもとが取れるとしてもなお、導入時の支払が負担である
  • 「買い替えた方が家計の負担が減らせる」ことが一般的には知られていない
  • ライフスタイルや家電、気候や日照等の条件が家庭によって大きく異なるため、どの省エネ対策が「自分の家庭にとって」効果的であるかを知る手段がない

そこで松橋研究室はLCSと共同で、家庭・業務部門の省エネを推進する方策として「電気代そのまま払い」という枠組みを考案し、実現可能な方法についての研究を始めました。


[脚注1]低炭素技術とは、太陽光発電システム、太陽熱温水器、燃料電池、電気自動車、断熱改修、ペアガラス、省エネ家電(エアコン、冷蔵庫、LED)などをいいます。→本文中元の位置へ