プロジェクトの強み

家庭・業務部門で低炭素化を進める場合、家庭・業務部門の特徴を十分に考慮した上での制度設計が必要となります。

「電気代そのまま払い」は以下の点で、すぐれた制度であるといえます。

規制的手段ではない

家庭・業務部門は産業部門、運輸部門と比べても特に規制という手段がなじみにくいことに留意する必要があります。

日本の世帯数は約5千万。規制をかけ、排出実態を把握・管理することは現実的ではありません。一律な規制は低所得者層や単身高齢者世帯等、社会的により弱い立場にある世帯に負担を強いる結果を招きがちである点にも留意が必要です。
また、家庭部門は、世帯人数もそれぞれに異なりますし、生活のスタイルも実に多様です。家で過ごす時間の長い主婦や高齢者、昼間は不在で夜のみ家で過ごすサラリーマンや学生、逆に夜勤など夜は不在で昼間にのみ家過ごす人などで、エネルギーの使用パターンも当然違ってきます。一律に「何を実行すれば省エネが進むか」を判断するのもまた難しいのです。

「電気代そのまま払い」では、各家庭のエネルギー使用パターンを踏まえてコストパフォーマンスの良い省エネ対策を具体的に「提案」します。その情報を得て選ぶのは消費者なので不当な負担を押し付けることはありません。初期コストが事実上ゼロになる方策ですので、所得の低い方達も無理なく利用することが出来ます。

補助金に頼りつづけない

これまで、家庭・業務部門の低炭素化の推進策は、エコポイントや住宅用太陽光発電の導入支援など、補助金等でインセンティブを与える施策が中心でした。実際にこれらの施策によって住宅用太陽光発電や省エネ家電は普及が進み、知名度も上がってきました。
しかし、補助金の財源は無限ではありません。大量生産や企業間の競争による価格が見込めるはずの大量普及段階でも補助金に頼らなければ成立しないような施策は現実的とはいえません。

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は再生エネルギーで発電した電気をその地域の電力会社が一定価格(一般的な電気代と比べ、高価)で買い取る事を国が約束し、買い取るための費用は賦課金という形で電気の利用者全体で負担するという制度です。皆さんのご家庭でも、電気代の伝票を見ると「再エネ発電賦課金」という項目でいくらかの金額を支払っていることを確認できるはずです。
この制度は一見合理的であり、また一定の成果も上げてきました。しかし、再エネ発電賦課金は平成27年度の賦課金単価は、1kWh当たり1.58円(標準家庭(一ヶ月の電力使用量が300kWh)で月額474円)[脚注1]ですが、今後この制度を利用して太陽光発電システムを設置する人が増えれば当然賦課金も高くなります。さらに、一戸建てなどを所有し高価な太陽光発電等を導入できる比較的所得の高い層が高額な固定価格での売電によって経済的に優遇される一方で、これらを導入する経済力を持たない比較的所得の低い層が賦課金というデメリットを負うこととなる構図があることも事実です。この制度も普及段階のいずれかの段階で再考が必要といえるでしょう。

「電気代そのまま払い」は、事業体(GPM)が採算を取りながら運営していく枠組みですので、補助金には依存しませんし、第三者に金銭負担を強いることもありません。


[脚注1]出典:経済産業省2015年3月19日プレスリリース「再生可能エネルギーの平成27年度の買取価格・賦課金を決定しました」より→本文中元の位置へ